胃酸や食べ物が食道に逆流して炎症を起こす病気です。
通常、胃と食道の間には「下部食道括約筋」という筋肉があり、胃の内容物が食道に戻らないように働いています。これがうまく機能しないと食道に逆流し、食道の粘膜がただれて炎症を起こすことがあります。

1.主な症状
- 胸やけ
- 酸っぱいものが上がってくる感じ
- 胃もたれ、げっぷ
- のどの違和感、つかえ感、咳、声がれ:のどへの刺激でおこります
2.主な原因
- 食べ過ぎ、早食い
- 食後すぐに横になる
- 夜遅い時間に食べる
- 脂っこい食事
- 飲酒や喫煙
- 肥満や加齢により食道が胸からおなかに入るところ(食道裂孔)がゆるむ
3.診断方法
- 問診(医師が症状や生活習慣を聞いて判断します)
- 胃カメラ:食道と胃の接合部のただれや炎症などをチェックします
- 特殊検査:24時間pHモニタリング(胃酸の逆流を測定、行うことは稀です)
4.治療法
- 生活習慣の改善
- 食後すぐに横にならない:1時間以上
- 夜遅い時間に食べない:夕食を就寝3時間前までが理想
- 脂っこいもの、アルコール、コーヒー、甘いものを控える:胃酸分泌を抑える
- 一度に食べすぎない、よく噛んで食べる(早食いを避ける)
- 体重を減らす(肥満の人)
- 寝るときは 頭を少し高くする、左側臥位にする
- 薬物療法(多くの患者さんがこれでよくなります)
- PPI(プロトンポンプ阻害薬):胃酸の分泌を強力に抑える薬(ランソプラゾール、ラベプラゾール、エソメプラゾール)
- P-CAB(カリウムイオン競合型酸阻害薬):PPIより早く強力(ボノプラザン)
- 必要に応じて、胃の動きを助ける薬(アコファイド®)や食道粘膜を保護修復する薬(アルロイドG®)を併用することもあります
- 手術(まれに)
薬で十分に治らない場合は、逆流防止手術(ゆるんだ食道裂孔をとじたり、胃と食道の接合部をしめたりする手術)を検討します。
院長からのひとこと
逆流性食道炎の治療や予防の基本は、生活習慣の改善です。お薬は補助的な役割となります。
症状がよくなればお薬は終了もしくは維持療法として継続することもあります。この病気は一旦よくなっても再発しやすいため、良い生活習慣を続けることが大切です。
また、食道炎と思っていても、食道がんや胃がんなどの怖い病気の可能性あります。1~2年に1回、定期的に胃カメラを受けることも重要です。
