便秘は、①機能性便秘(一次性便秘)、②器質性便秘、③二次性便秘に分けられます。それぞれにさまざまな原因があり、問診や腹部診察、検査によって診断し、状態に合わせた治療を行います。

機能性便秘(一次性便秘)
特定の病気がなく、腸の働きの異常や生活習慣の影響 で起こる便秘です。日本人の便秘の多くがこれに該当します。
《主な原因》
- 大腸の動きが弱い(腸の蠕動運動の低下)
- どんな便秘?:大腸の収縮運動(蠕動)が弱いと、便の水分が過剰に吸収されて硬くなり出にくくなります。
- 原因:運動不足、加齢、食物繊維不足、自律神経の乱れ
- 便を押し出せない(排便困難型)
- どんな便秘?:直腸に便が溜まっても、うまく押し出せないタイプの便秘です。
- 原因: 便意を我慢する習慣、骨盤底筋群の低下(加齢、出産後など)
- 便意を感じにくい(直腸の感覚低下)
- どんな便秘?:便が直腸に溜まると感じる「便意」が、溜まった状態が長く続くと感覚が低下します。
- 原因:排便を我慢する習慣、ストレス、加齢、出産後
器質性便秘(腸の病気が原因)
腸そのものに病気や構造的な異常があるために起こる便秘です。
《主な原因》
- 大腸がん・大腸ポリープ
- どんな便秘?:大腸がんや大きなポリープがあると、腸が狭くなり、便が通りにくくなります。
- 特徴:便が細くなる、血便が出る、急に便秘が悪化する
- 腸閉塞(イレウス)
- 腸のねじれや術後の癒着(ゆちゃく)で腸が狭くなると、便がスムーズに進まなくなります。
※器質性便秘は、検査(大腸カメラなど)が必要です。急に便秘が悪化した場合や、血便や腹痛を伴う場合は、早めに受診しましょう。
二次性便秘(薬や腸以外の病気が原因)
- 薬剤性便秘(薬の影響)
- どんな便秘?:薬によって腸の動きを抑えたり、腸内や体内の水分量を減らしたりすることで便秘を引き起こすことがあります。
- 便秘を引き起こす可能性のある薬
- 医療用麻薬:モルヒネ、コデインなど
- 抗うつ薬・抗精神病薬:うつ病や統合失調症の治療薬
- 降圧薬:血圧を下げる薬の一部
- 抗ヒスタミン薬:アレルギー薬の一部
- 鉄剤:貧血の治療で使われる
- 二次性便秘(他の病気が原因)
- 糖尿病:自律神経がダメージを受け、腸の動きが悪くなる
- 甲状腺機能低下症:新陳代謝が低下し、腸の動きも遅くなる
- パーキンソン病:神経の働きが低下し、腸の動きも鈍くなる
院長からのひとこと
「単なる便秘」と思っていても、大腸がんなど病気が隠れていることもあるので、便秘が続く場合や、今まで快便だったのに急に便秘になった場合、腹痛や腹部膨満、下血など他の症状を伴う場合などは要注意です。大腸カメラなど精査を必要に応じて行います。まずは受診して院長に相談しましょう。

便秘を防ぐには?
- バランスの良い食事を摂りましょう(食物繊維・発酵食品・水分をとる)
- 適度な運動をしましょう(ウォーキング・ストレッチ)
- 規則正しい排便習慣を身に付けましょう(朝のトイレ習慣をつける)
- 薬の影響をチェックしましょう(便秘になりやすい薬を服用していないか確認)
- ストレス管理をしましょう(リラックスできる時間を作る)