もっと知って欲しい大腸がんのこと
1.大腸がんは増えている!
- 年々増え続け、毎年15万人以上が病気になり、5万人以上が亡くなっています
- すべてのがんの中で、発生数は1位、死亡数は2位(女性は1位)です
- 40歳代から急激に増えます
- 一生のうちで大腸がんになる割合:男性11人に1人、女性13人に1人
※全国がん登録罹患データ/人口動態統計がん死亡データより
2.大腸がんになりやすい人・なりにくい人
- リスクが上がる:
- [確実]喫煙、飲酒、肥満、高身長、加工肉
- [ほぼ確実]赤身肉
- リスクが下がる:
- [確実]運動
- [ほぼ確実]食物繊維、玄米、乳製品
※World Cancer Research Fund / American Institute for Cancer Research 2018
- その他
- 潰瘍性大腸炎:病気の期間が10年を超えるとリスクが上昇
- 遺伝的要因:家族に大腸がんの人がいる(遺伝性大腸がん、家族集積性大腸がん)

「遺伝性大腸がん」より作成
3.大腸がんはどのようにしてできるのか?
- ポリープ(腺腫)から発生するタイプ
- 正常な粘膜からポリープ(腺腫)ができ、大きくなると一部ががん化、その後、全体ががんになる
- 正常な粘膜からポリープ(腺腫)ができ、大きくなると一部ががん化、その後、全体ががんになる
- 粘膜から直接発生(デノボがん)
- ポリープを経由しない

4.大腸がんのできやすい部位は?
S状結腸と直腸で約2/3を占めます。ただし、近年は右側の大腸も増えています。

5.大腸がんの症状(初期は無症状のことが多い)
- 血便・便に血が混じる(検診の便潜血検査で陽性も含む)
- 下痢や便秘
- 便が細くなる
- 腹痛、腹部膨満感
- 原因不明の体重減少や貧血

6.大腸がんの診断に必要な検査
- 大腸カメラ:診断のために必須です
- 病理検査:大腸カメラで病変から生検したり、病変を切除したりしたものを検査し、確定診断となります
- 注腸検査:がんの正確な位置を確認します
- 超音波検査/CT検査/MRI検査:がんの拡がり・転移の有無を調べます


7.大腸がんのステージ(病期)
粘膜にできたがんが大腸の腸壁のどこまで深くなっているか(深達度)と転移の有無でステージが0~IVまで決まります。
壁深達度 | リンパ節への転移 | 遠隔臓器への転移 | ||
---|---|---|---|---|
なし | あり | 肝臓、肺、腹膜など | ||
M(粘膜内) | 0 | |||
SM(粘膜下層) MP(固有筋層) | I | III | IV | |
SS,A(漿膜下層) SE(漿膜) SI,AI(隣接臓器浸潤) | II |
大腸の壁構造

8.大腸がんの治療
ステージによって以下の治療方法を選択または組み合わせて治療方針を決めます
- 内鏡的切除(早期がんの場合):ポリペクトミー、EMR(図)、ESD
- 手術(外科的切除):腹腔鏡手術、ロボット支援下手術
- 化学療法(抗がん剤)
- 放射線治療(特に直腸がんで使用)

9.大腸がんは治るのか?
ステージの早い段階で治療できれば治る可能性の高いがんです。
一方で、肝臓や肺に転移したステージIVになると、治ることは厳しくなります。したがって、早期発見、早期治療がとても大切です。


国立がん研究センター院内がん登録生存率集計統計結果/大腸癌治療ガイドライン医師用2019年版資料より作成
10. 大腸がんの予防や早期発見のためにできること
- バランスの取れた食事を心がけましょう(食物繊維をしっかり摂る)
- 適度な運動をしましょう
- 禁煙・節度ある飲酒をしましょう
- 検診を定期的に受けましょう:40歳を超えたら大腸がん検診!
- ポリープの早期発見と切除に努めましょう
※4、5のために、繰り返し大腸カメラを受けましょう。
