下痢

下痢は 「便の水分量が増加し、頻回で軟便または液状便になる状態」 を指します。急性か慢性か、また原因によりいくつかの種類に分類されます。

下痢の種類と原因

1.急性下痢(発症から2週間程度)

  • 感染性下痢(ウイルス・細菌・寄生虫)
    • ウイルス性(ノロウイルスなど):カキなど。冬季に流行
    • 細菌性(サルモネラ・カンピロバクター・病原性大腸菌など):生肉や生卵など
  • 食中毒による下痢:
    • 細菌性毒素(ブドウ球菌、ボツリヌス菌など):食後数時間以内に発症
  • 薬剤性下痢:抗生物質、抗がん剤、下剤

2.慢性下痢(4週間以上持続)

  1. 食物起因性下痢(食べ物が原因の下痢)
    • カフェイン、アルコール、牛乳、脂肪酸、人工甘味料など
  2. 薬剤性下痢
    • 抗がん剤、抗菌薬、下剤、制酸剤、消炎鎮痛剤など
  3. 症候性下痢(腸以外の病気によって起こる二次的な下痢)
    • 甲状腺機能亢進症、副腎不全、慢性膵炎など
  4. 感染性下痢(感染性腸炎の慢性化)
    • 腸結核、アメーバ赤痢(海外渡航歴や免疫不全患者で疑う)
  5. 器質性下痢(腸の病気によって起こる下痢)
    • 大腸がん、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)など
  6. 胆汁酸性下痢(胆汁の過剰分泌・吸収不足など)
  7. 機能性下痢
    • 下痢型過敏性腸症候群:ストレスなどに関連、腹痛を伴う

慢性下痢で特に注意が必要な病気3選

1.大腸がん

40歳代以降で急増、がんの死因第2位(女性1位)

2.炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)

10歳代~30歳代で好発する難病

3.慢性膵炎

男性に多く、その多くはアルコールが原因
女性にも起こるが、原因不明であることが多い
膵がんのリスクが通常の13倍以上


院長からのひとこと

慢性的な下痢は、以上のような怖い病気が原因のこともあります。体質だからと思わず、大腸カメラなど精密検査を受けましょう。