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クローン病

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1)クローン病とは

 クローン病(Crohn Disease;CD)は、炎症性腸疾患(IBD)の一つで国が定めた「指定難病」です。クローンといってもいわゆるクローン技術のクローンではなく、クローンという医師の名前からつけられた病気です。
 同じIBDの潰瘍性大腸炎(UC)は大腸の病気ですが、CDは口から肛門までの消化管のあらゆる部位の腸管壁に炎症がおきる病気です。主に小腸、大腸、肛門に炎症がみられ、炎症が小腸のみにみられる「小腸型」、小腸と大腸にみられる「小腸大腸型」、大腸のみにみられる「大腸型」などに分けられます(図1)。CDは10~20歳代の若い人に好発し、男女比は2:1で男性に多い病気です。患者数は増え続けており、2015~2016年の調査では7万人の患者さんがいます。主な症状は下痢、腹痛、発熱で、UCに特徴的な粘血便はあまりみられません

※西脇ら「潰瘍性大腸炎およびクローン病の有病者数推計に関する全国疫学調査」

図1

2)クローン病でみられる合併症

 CDは病気が進行すると、主な症状以外にも様々な合併症がみられるようになります。この合併症は、腸管だけでなく腸管以外の全身臓器にもみられます。

① 腸管合併症
  • ・出血:潰瘍が深くなって、腸管内に出血することがあります。下血や貧血症状を伴うことがあります。
  • ・狭窄:炎症を繰り返すこと腸管が狭くなる状態で、ひどくなると腸閉塞となることがあります。
  • ・穿孔:炎症が高度になり潰瘍が深くなって腸管に穴があいてしまう状態で、細菌を含む腸内容物が漏れて膿瘍(膿の塊)や腹膜炎をおこし、緊急手術となることがあります。
  • ・瘻孔:腸管に深い潰瘍ができると炎症が波及して、腸と腸、腸と他の臓器や腹壁がつながってしまう状態です。
  • ・肛門合併症:痔瘻(穴痔のこと)、肛門周囲膿瘍(痔瘻から肛門周囲の皮下に膿が溜まる)、裂肛(肛門粘膜の潰瘍)などがあります。
② 腸管外合併症(40~60%の患者さんでみられます)
  • ・関節症状:膝や足などの関節痛、関節炎
  • ・眼の病気:ぶどう膜炎
  • ・肝ぞう、膵ぞうの病気:脂肪肝、胆管炎、胆石、膵炎など
  • ・皮膚の病気:結節性紅斑、壊疽性膿皮症など
  • ・骨の病気:骨粗しょう症、強直性脊椎炎
  • ・血管の病気:静脈血栓症
  • ・その他:口内炎、腎ぞう結石

3)診断

 CDと診断するために、他の病気と区別することも含めて、様々な検査が行われます。それらの結果を組み合わせて確定診断となります。

① 問診
下痢、腹痛、発熱、体重減少などの症状、その期間などを確認します。肛門の症状(特に若年者)、抗菌薬の服薬歴、海外渡航歴などの有無を確認します。
② 血液検査
炎症反応や貧血、栄養状態を調べます。
③ 便検査
細菌/ウイルス/寄生虫がいないか調べて感染性腸炎と区別します。
④ 内視鏡検査
診断や病状の把握、治療中の効果判定のために内視鏡検査は欠かせない検査です。
  • ・大腸内視鏡検査:肛門から内視鏡を挿入して大腸の病変を観察します。
  • ・カプセル内視鏡:口からカプセル型の内視鏡を飲み込んで、小腸の病変を観察します。専門の施設でないと検査ができません。また、小腸に狭窄があると検査は行えません。
  • ・バルーン内視鏡:先端に風船が付いた内視鏡を、口かたは肛門から挿入して、小腸の病変を観察します。
⑤ 画像検査
  • ・X線造影検査:バリウムや腸管用造影剤を肛門から、または口や鼻から挿入したチューブから、空気と一緒に注入して、大腸や小腸のX線写真を撮ります。病変の局在を確認し、狭窄や瘻孔形成の有無を評価します。
  • ・CT/MRI検査:腸管壁の状態や瘻孔や膿瘍など腸管合併症の有無、腸管外合併症の検索も行います。

4)治療その1:薬物治療

 CDの治療のメインは、薬で炎症を抑えていく薬物療法です。CDの経過には「活動期」と「緩解期」があり、これらが繰り返されて病状が進行します。活動期の炎症を抑えて緩解期へ持ち込み、できるだけ長く緩解期を維持し、CDの進行を抑えることが目標となります。それによって生活の質と低下させる腸管合併症の発症を防ぐことが期待されます。
薬物療法には、①アミノサリチル酸製剤(5-ASA製剤)、②ステロイド、③免疫調整薬、④生物学的製剤(抗体薬)などがあります。

① 5-ASA製剤
CD治療の基本薬です。全身の免疫を抑えることなく、直接腸の粘膜の炎症を抑える薬です。経口剤、坐剤、注腸剤(おしりから注入する薬)があります。経口剤はすべての病型の軽症から中等症の方に使用します。坐剤や注腸剤は、直腸からその口側のS状結腸に直接薬を届けるため、直腸炎型や左側結腸型の軽症から中等症の方に使用します。
② ステロイド
現在起こっている炎症を抑える作用があり、経口剤、注射剤、注腸剤、坐剤、フォーム剤があります。5-ASA製剤の効果が不十分だった方(経口剤)、重症や劇症の方など(注射剤)、直腸など大腸病変の方(注腸剤、坐剤、フォーム剤)に使用します。基本的に活動期の方に用いられ、緩解期となった方へ再燃予防を目的として漫然を使用すること避けます。
③ 免疫調整薬
CDは過剰な免疫反応によって炎症が引き起こされる病気であるため、炎症の要因となる免疫細胞であるリンパ球の増殖を抑えて腸内の免疫異常を調整します。経口剤で緩解期の維持療法に用いられます。
④ 抗体薬
生物学的製剤とは生物がつくる抗体やタンパクを利用してつくられた薬の総称で、抗体薬はその一つです。炎症の原因となる細胞やタンパクに抗体薬が結合することによって、その働きをブロックして炎症を抑えます。TNF-α、α4β7インテグリン、IL-12/23といった物質に対する抗体薬があります。いずれもステロイドなどで効果不十分の場合に用いられ、緩解期を維持するため使用することもあります。

4)治療その2:薬物療法以外

① 栄養療法
クローン病は小腸に炎症がおきやすく、それによって腸の働きが極端に低下すると、通常の食事は吸収できず栄養不良となり、全身状態が悪化していくおそれがあります。腸を休ませながら十分な栄養が取れるよう、負担のない特殊な栄養剤を取ることが栄養療法です。薬物療法と並行して行われます。

[栄養療法の種類]

  • ・完全静脈栄養:腸管狭窄、瘻孔形成など腸管合併症を伴う重症のクローン病の患者さんに点滴カテーテルを留置して静脈内へ直接栄養剤の輸液を行います。
  • ・経腸栄養:消化に負担のない栄養剤を鼻から入れたチューブから注入する、もしくは口から摂取する栄養療法です。通常の食事を補う形で用いられます。

[経腸栄養剤]

  • 成分栄養剤:タンパク質がアミノ酸にまで分解されている栄養剤。脂肪をほとんど含まないため、体内での消化が不要。
  • 消化態栄養剤:タンパク質はアミノ酸が複数個つながった状態まで分解され、少量の脂肪は含むが、ほとんど消化は不要。
  • 半消化態栄養剤:タンパク質や脂肪など栄養素がバランスよく配合された栄養剤。消化機能がある程度あれば使用可能。
② 血球成分除去療法
静脈から血液を抜き取り、過剰な免疫を起こしている血中の細胞だけを除去して血液を体内に戻すという治療です。薬物療法で効果の得られない方に対して、寛解期へ持ち込む場合に用いられます。
③ 外科治療
下記のような腸管合併症がある場合、内科的治療の効果が得られにくいため、手術療法が検討されます。このような患者さんに対して、以前は「できるだけ手術を回避する」方針が主流でしたが、前述のような抗体薬の登場により、「早めに手術をして、その後再燃しないよう内科治療でコントロールする」、それによって「繰り返し手術をしないようにする」という方針になってきました。また、手術も小さな傷で負担の軽い腹腔鏡手術で行うことが多くなりました。

[手術を検討する腸管合併症]

  • ・急いで手術が必要となる場合:腸穿孔、大量出血、腹腔内膿瘍、腸閉塞、中毒性巨大結腸症、がんの合併
  • ・状態を考慮しつつ手術を検討する場合:難治性の腸管狭窄、難治性の肛門病変、瘻孔形成、内科的治療無効例

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